リアル以上のオンライン体験。「SKE48 SHAKE」の挑戦

CROSS TALK

リアル以上のオンライン体験。「SKE48 SHAKE」の挑戦 サムネイル画像

2021年3月にリリースされた、SKE48のメンバーとファンが1対1でトークできるオンラインアプリケーション「SKE48 SHAKE」(以下、「SHAKE」)。これまでに「乃木恋~坂道の下で、あの日ぼくは恋をした~」をはじめ、ゲームアプリを中心に開発してきた10ANTZが、なぜゲーム要素のないコミュニケーション専用アプリの開発に挑戦したのだろうか?

開発に携わった3人のメンバーに、「SHAKE」でこだわった「ファンとアーティストのつなげ方」やプロジェクトが立ち上がった経緯、今後の展望など開発秘話を語ってもらった。

堀奈津子
堀奈津子
2017年入社 | マネージャー
プラットフォーム事業部所属
芳賀幸一郎
芳賀幸一郎
2017年入社 | サーバーサイドエンジニア
開発部サービス開発グループ所属
原田優弘
原田優弘
2017年入社 | フロントエンドエンジニア
開発部サービス開発グループ所属

「握手会ができない」コロナ禍の状況が、10ANTZのチャレンジを加速させた

「SHAKE」プロジェクトのはじまり

堀

「SKE48 SHAKE」はこれまで10ANTZが発表してきたゲームアプリとは異なり、コミュニケーション専用のアプリです。10ANTZの代表的なアプリはゲームなので、私たちが「SHAKE」を開発したことに対して、意外に思われる方がいるかもしれません。

でも、もともと10ANTZは「ファンとアーティストの“ありがとう”をつなぐ」というコンセプトを軸に、事業を展開している会社です。だから「ゲームアプリの開発だけでなく、それ以外の新しいサービスを展開していきたい」という発想が生まれる土壌は以前からあったんです。

特に2020年はコロナ禍の影響でファンとアーティストのリアルな交流がままならない状況でしたから、ファンクラブアプリのようなものを制作し、プラットフォームづくりのビジネスに挑戦していこうという機運が社内で高まっていました。

そこでプラットフォーム事業部という部署を立ち上げ、チームを編成して動き出そうとした矢先に、「オンライン上でSKE48さんとリアルにトーク会ができるようなサービスをつくれないか」という機会をいただいたんです。10ANTZとしてもぜひ挑戦したい内容だったので喜んでご提案させていただきました。それでプラットフォーム事業部の方向性を、ファンクラブアプリ開発から「SHAKE」の開発に切り替えたのが、2020年の5月ごろのことでしたね。
「SKE48 SHAKE」を紹介する公式動画
堀奈津子(プランナー)
堀奈津子(プランナー)
芳賀

芳賀

最終的に2021年3月に「SHAKE」がリリースされたから、開発期間は10か月。かなりタイトなスケジュールでした。プロジェクトメンバーは13人いたのですが、堀さんをはじめとするプランナー陣が企画をしながら仕様を決め、同時進行でぼくや原田さんなどのエンジニア陣が実装していくかたちで進めました。もともと、社内の研究チームがトーク機能の技術開発を進めていたので、そちらと連携をとりながら。
芳賀幸一郎(バックエンドエンジニア)
堀

開発が始まった当初、日本国内ではファンとアーティストが1対1で話せるトークアプリがほとんどなく、ベンチマークとなるアプリがありませんでした。だから「握手会をオンラインで体験できるようなアプリにしよう」と具体的なテーマを決め、メンバー同士で協力し合いながら、ゼロからつくっていきました。
芳賀

芳賀

いままでにないアプリをつくろうというプランナー陣の熱意がすごくて、ぼくらエンジニアも刺激をもらいました。それに堀さんがムードメーカーとなってくれたから、緊張感があるけれど笑いもあって。いいチームでしたよね。新しい挑戦は未知でもあり、楽しくもありました。
原田優弘(フロントエンドエンジニア)
原田優弘(フロントエンドエンジニア)
原田

原田

モチベーションを高く持ち続けることができましたよね。開発途中には、100人以上の10ANTZの社員がテストに協力してくれたのもありがたかったです。テストは全部で5、6回やりましたね。

その後、2021年3月に開催された『「恋落ちフラグ」オンライントーク体験会(以下、『体験会』)』という当選者1,000人限定のオンラインイベントで、「SHAKE」をお披露目しました。

イベントに向けて開発していた頃の一番の心配は、やりなおしがきかない一日限りのイベントで、不具合が出てトークができない状況が起こることでした。テストでは予測していなかったトラブルもいくつか発生して、参加してくれた10ANTZの社員たちは「本当に大丈夫なのかな?」と心配していたと思いますが、ぼくらにとってはさまざまなトラブルをテストの段階で把握できたことがありがたくて。

おかげで事前にトラブルを防げましたし、もしなにか起こったとしても「こういうエラーが起きたらこういう対応をしましょう」という周到な対処フローも用意できました。安心して本番を迎えられたのは本当によかったですね。

リアルな体験をデジタルに置き換えるだけでなく、新たな価値を付加していく

完成した「SHAKE」アプリ。ファンの反応は?

堀

リアルな握手会では、CDを購入することで握手会参加券を入手できるのが一般的ですよね。「SHAKE」の『体験会』への参加方法もリアルな握手会の延長線上にあって、SKE48の発売CD『恋落ちフラグ』を購入することで抽選の応募が可能になり、当選者が体験会のシリアルコードを入手できるという仕組み。シリアルコードを「SHAKE」アプリに読み込むことで、SKE48のメンバーとファンがオンライン上で1対1のトークをすることができます。

トークの順番がくるまで待機中のユーザーは限定動画を見ながら待てたり、SKE48のメンバーさんの直筆メッセージを見ることができたり、ちょっとしたお楽しみの要素も盛り込みました。
原田

原田

ファンもアーティストも安心して快適に使っていただけるように、ぼくらもシステムがしっかり動くかどうか、細心の注意を払って当日を迎えました。正直、1,000人という規模で本当にトーク会が成功するのか不安ではあったけれど、フタを開けてみたらスムーズに参加している方が多く、メンバーさんとトークできたことにとても喜んでくださった。アンケートでも80%以上の方に「満足した」と答えていただきました。
堀

握手会では実際にメンバーさんと会えることが大きな価値だと思うのですが、オンラインではそれは叶いません。だからリアルな握手会ではあいさつ程度の数秒しか喋ることができないところを、「SHAKE」のトークは軽く会話ができるほどの秒数に伸ばしました。

ファンにとって自分の「推し」に自分の名前を覚えてもらったり、呼んでもらったりすることは嬉しいものですが、アプリなら参加者の名前が表示されているので、リアルの握手会よりも簡単にそれが実現するんですよね。オンラインでのコミュニケーションは、直接好きなアーティストと対面できるというリアルの握手会での体験には及ばない部分もありますが、オンラインならではの別の新しい価値を生み出すこともできる。そして、よりファンとアイドルの交流体験を深められるところに手応えを感じました。
芳賀

芳賀

実際にファンの皆さんが笑顔になってくれたのを見たら嬉しくて、思わず泣きそうになりました。ファンのためになるアプリになったと思います。

堀さんが重視していた、握手会特有の文化を盛り込んだことも、ユーザー体験の設計上、重要なポイントだったと思います。たとえばリアルな握手会には、参加券をまとめて出してアイドルと話せる時間を伸ばす「まとめ出し」という方法があるということをリアルな握手会スタッフの方から教えていただいたんです。

アプリでも「シリアルコードをまとめて入力してください」ではなく、「シリアルコードのまとめ出しをしてください」と、普段の握手会でのやりとりを彷彿とさせるような誘導の仕方を取り入れました。だからファンの方々もアプリに馴染みやすかったのではないでしょうか。
原田

原田

ファンが自分の好きな場所でトークイベントに参加できるという、リアルの握手会にはない新たな価値も創出されましたよね。実際に、参加したファンのうち海外在住の方も一定数いらっしゃいました。ファンの負担が少なく、リラックスできる環境で話せますし、SKEのメンバーさんに向けたいろんなアピールも可能。さまざまな状況の人が気軽に楽しく参加できるようになったと思います。

ユーザーの反応で喜びの涙を流したことも。もっともっと、改善したい

挑戦から見えてきた、新たな可能性

堀

「SHAKE」のプロジェクトではSKE48のメンバーさんたちとファンの方々、双方に安心安全にイベントへ参加いただくため、セキュリティー面を強化することも求められていました。そこで「SHAKE」と連動する管理用のアプリもつくり、顔認証やSKE48のスタッフさんたちがトークの様子をチェックするための機能などを備えていきました。
芳賀

芳賀

ほかにも、くしゃみや軽いメイク直しなどの瞬間にスタッフが一時停止で操作して、ファンに見せないようにしたほうがいいんじゃないか、といったアイドルならではの要望がありましたし、メンバーさんがトークに専念するため、一切スマホやタブレットを触らなくてもいいようにしたほうがいいよね、といったリクエストもありました。
原田

原田

リアルな握手会と同様に、オンラインのトークイベントでもトラブルが起きる可能性がありますからね。そういった場合の検証用に、録画システムを搭載していました。

予想外のニーズに気づいたこともあります。複数のトーク映像を同時に確認できるモニタリング画面の機能も一応つけたのですが、実際にイベントをやってみたらSKEさん側の運営スタッフが結構その画面を見てたんですよね。なんとなく必要だろうと思ってその機能をつけていただけだったので、驚きました。
堀

トーク体験会終了後、とあるファンの方が「参加してみた」という体験レポートをYouTubeにアップしてくださったのですが、朝から美容院へ行って、セッティングをして……という事前のワクワクが伝わる内容だったんです。「ずっと行きたかったけれど行けなくて、ついに念願叶った」と話されていたのを見て、「『SHAKE』に関わることができてよかった」と涙しました。

リアルな握手会でも、待ち時間というのはドキドキ、ワクワクできる時間。「SHAKE」でもトーク前後の時間も含めて、よりリッチな体験を提供できるようにしていきたいと思いました。
芳賀

芳賀

「SHAKE」で培ったノウハウを、今後別のサービスにどんどんと落とし込んでいっても面白いはず。オンライントークもそうですし、ライブ配信形式のものに広げていく可能性も見えてきました。もちろん既存の類似サービスもあるけれど、ゲーム要素とかを盛り込みながら、もっとファンとアーティストが身近になるようなサービスをつくっていきたいですね。

新しいエンタメをつくり、ファンとアーティストをつなぐため、10ANTZは前進を続ける

10ANTZにマッチしそうな人は、どんな人?

堀

10ANTZでは通常、プロジェクトやアプリのタイトルごとにチームが組まれます。チームには進行管理する人やプロダクトを改善する人、新しく開発する人がいて、さまざまなタイプの人が共存しています。
芳賀

芳賀

サービスを地道に改善していく人も、新しいことにチャレンジしてみたい人も、どちらも活躍できる場ですよね。
原田

原田

エンジニアが新しい技術に挑戦したい場合、会社に伝えやすい環境だし、それができる状況が生まれたときには、実際に声をかけてもらえるからチャンスが多い。
堀

プロジェクトごとにチームの空気感も違うのですが、「SHAKE」チームには特に、「新しく挑戦していこう」「面白いものをつくっていこう」というマインドを持ったメンバーが集まりました。だからこそ、ポジティブな気持ちでトライアンドエラーを繰り返していけたのだと思います。
芳賀

芳賀

企画立案からリリースまでワンストップでやる場合、プランナーが一番多忙だと思うのですが、堀さんはいつも楽しそうなんですよね(笑)。プランナーが楽しそうに話してくれると、たとえ無理難題であっても頑張ろうと思えるし、ぼくらのモチベーションとなっていました。
原田

原田

ぼくらエンジニアは、サービスやプロダクトのアイデアをかたちにしていくことはできるけれど、ゼロからアイデアを生み出すことに関してはプロではない。企画を担当する方々はそこを考えてくれるし、さらにプロダクトが世に出たあとのことまで見ている。「ファンとアーティストをつなぎ、みんなが幸せに感じられるために10ANTZはどうするか」という会社のコアバリューを真剣に考え、一本強い筋を通してくれる。

だからブレないし、ぼくらも尊敬しながらついていくことができるのだと、「SHAKE」のプロジェクトを通して気づかされました。
芳賀

芳賀

10ANTZはゲームをつくることを得意とする会社ですが、ゲーム「だけ」をつくる会社ではありません。リアルイベントを開催したり、ほかの企業のタイアップの企画をしたり、ゲームを軸にいろいろな方向へ発展する動きをしている会社です。そして今回の「SHAKE」を機に、世の中のエンタメに一石を投じる存在になったと思います。

エンタメに関わる会社はいっぱいあるけれど、意思決定の速さやチャレンジ精神といったベンチャー感もありつつ、すばらしいアーティストの方々と一緒に仕事ができて、世の中のニーズを拾いながら話題性のあるプロダクトをつくることができる会社は、なかなかありません。つくづくバランスのいい会社だと思います。

原田

原田

アーティストの活動に少しでも関わりたいというミーハーな人でもいいと思います。今後もさまざまな広がり方をしていく10ANTZだからこそ、ゲームだけでなくエンタメ全般に関わることに興味がある方がフィットするのではないでしょうか。
堀

プランナーであれば、エンタメ領域でのモノづくり対する熱量と、それを実現させていくための気合と根性がある人がいいと思います。そして、新しいエンタメをつくっていきたい人。「SHAKE」を通して、ゲームとは違うアーティストとファンの新たなつなげ方の可能性が見えてきたので、私自身もワクワクしています。

今後は競合も増えるでしょうが、10ANTZなら、いままでで培ってきたゲームづくりの強みで差別化しながら、新しいエンタメをつくっていける。そんな前進を続ける10ANTZの姿勢に魅力を感じる方に、ぜひ来ていただきたいですね。